監修医師中山 潤一 医師(医療法人社団佳和会 理事長)
日本整形外科学会認定 専門医 / 医学博士 / 明石市整形外科医会会長


半月板損傷は、半月板に裂け目が入ったり、欠損した状態です。
急な動きや衝撃が原因となって発症することが多いです。痛みやひざのぐらつき(不安定感)が現れますが、早期に適切な治療とリハビリに取り組むことで、早期の回復が期待できます。

半月板は、ひざ関節の中で大腿骨と脛骨のあいだにある線維軟骨です。膝がぐらつかないように支えたり、体重がかかったときの負荷を分散し、歩行や運動時の衝撃を吸収する役割があります。
半月板を損傷すると、ひざが腫れたり痛みが生じます。損傷の程度によっては、痛みだけでなく「ロッキング」と呼ばれる、膝が急に動かなくなる症状(引っかかって伸びない・曲がらない)が起こることもあります。
半月板損傷の症状は、損傷の種類や程度によってさまざまです。
初期:痛みが出始める段階
中期:関節が不安定になり、痛みが強くなる
進行期:関節のバランスが崩れ、軟骨が摩耗
スポーツ中の接触や急な切り返し、転倒などで膝に強い力が加わった際に、半月板が急に損傷するケースです。比較的若い世代(10〜30代)でみられることが多く、サッカーやバスケットボールなど、膝をひねる動きが多いスポーツで起こります。
長い年月のなかで、膝の使い過ぎや加齢に伴う変性により半月板が徐々にすり減り、傷んでいくケースです。40代以降でみられることが多く、階段の上り下りや正座など、日常的に膝へ負担がかかる動作を繰り返すことで、少しずつ進行していきます。
半月板損傷による痛みには、大きく分けて2つのメカニズムが関わっています。
半月板が損傷すると、断裂した組織の断端が関節内で挟み込まれたり、不安定な状態で動くことで、周囲の組織を刺激します。これにより、膝の引っかかり感やロッキング、曲げ伸ばし時の鋭い痛みが生じることがあります[1]。
組織を修復しようとして患部に血液が集中することで生じます。その過程でブラジキニンやプロスタグランジンなどの発痛物質が放出され、神経を刺激することで痛みが引き起こされます[2]。さらに、腫れや関節液の貯留が加わることで、痛みが強くなることもあります。
半月板損傷は病態がさまざまで、損傷の形によって以下のように分類されます。
| 縦断裂 | 横断裂 | 水平断裂 | バケツ柄断裂 | フラップ状断裂 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 損傷の状態 | 半月板が縦に断裂 | 半月板が横に断裂 | 半月板の表面がめくれるように損傷 | 半月板がバサバサとささくれるように損傷 | 半月板の一部が裂け、断裂片がフラップ状にめくれる |
| 原因 | ケガなどの外傷性の要因 | ケガなどの外傷性の要因 | ケガなどの外傷性の要因 | ケガなどの外傷性の要因 | ケガなどの外傷性の要因 |
| 断面図 | ![]() |
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症状が軽い段階では、まず保存療法からで経過をみます。ひざ関節内に水がたまって腫れや動かしにくさが強い場合は、注射で水を抜くことで、症状の緩和をはかります。保存療法を続けても十分な効果が得られない場合は、手術療法を検討します。
| 概要 | メリット | デメリット | |
|---|---|---|---|
| 薬物療法 | 外用薬や消炎鎮痛剤の内服、ひざへのヒアルロン酸注射など | 痛みの軽減が見込める | 継続的な通院・治療が必要 |
| 物理療法 | 温熱療法や電気治療などを行う | 運動が難しい時期でも、関節まわりの機能を整える | 痛みや可動域が十分に改善しない |
| 装具療法 | 装具やテーピング等でひざを補助し、負担を減らして安定性を高める | 負担が軽くなり、運動機能の活性化が期待できる | 装具がないと症状が再発しやすい |
| 運動療法 | ひざを支えるための筋力強化を行う | ひざ関節の負担要因の改善(血流や体重) | 適切な方法でないと、痛みを増やすなど逆効果に |

膝が引っかかって動かしにくくなるロッキング症状がある場合や、保存療法で改善が得られない場合は、手術療法を検討します。手術方法は大きく2つに分かれ、損傷した半月板の一部を切除する「半月板切除術」と、損傷した部分を縫い合わせる「半月板縫合術」があります。
どちらの場合も術後はリハビリが必須です。スポーツ復帰の時期は個人差がありますが、一般的には切除術で約2か月、縫合術で約6か月が一つの目安とされています[3]。
| 概要 | メリット | デメリット | |
|---|---|---|---|
| 半月板 切除術 |
損傷した半月板を切除する手術 | 早期に症状が軽くなりやすい | 半月板が減ることで膝軟骨への負荷が増え、将来的に変形性膝関節症のリスクが高まる |
| 半月板 縫合術 |
損傷部を縫い合わせる手術 | 半月板を残せるため、衝撃吸収などの機能温存が期待できる | 適応外の場合が多い(損傷部位の血流が良いこと、損傷してから日が浅いこと) |

治療を続けても効果を実感できない。
手術を勧められたけれど、手術は避けたい。
そんな方に、治療の選択肢の一つとして知っていただきたいのが再生医療です。
再生医療とは、ご自身の血液や脂肪細胞に含まれる成分を抽出し、ひざ関節内に注射する新しい治療法です。
注射だけの治療なので、入院の必要もありません。
当クリニックでは、半月板損傷による炎症・痛み・腫れや関節の動かしにくさに対して、症状の緩和を目的とした治療に加え、組織の修復を目指す再生医療まで、状態に応じた選択肢があります。再生医療は、半月板損傷が進行し、変形性膝関節症を併発している場合でも効果が期待できる治療法です。
半月板損傷は自然に治りにくく、放置すると変形性膝関節症の進行につながる可能性があります。
痛みが落ち着くと「このまま様子を見よう」と思いがちですが、半月板損傷を放っておくと、ロッキング(膝が引っかかって動かしにくくなる)や、ひざ関節の水がたまりやすくなるなど、症状が慢性化し手術を余儀なくされるケースもあります。変形性膝関節症への進行を防ぐためにも、早めに整形外科専門医の評価を受け、状態に合った治療を選ぶことが大切です。治療法は、重症度に応じて、保存療法から手術療法まで検討します。
ロッキング症状とは、膝が突然ある角度からまったく動かせなくなる状態を指します。
多くは半月板損傷により、その破損した半月板の一部が関節内に挟まり、膝の可動域を制限してしまうことが原因です。
また、痛みや腫れが強いと、実際に何かが挟まっていなくても「動かせない感じ」が出ることがあります。
完全に伸びない状態が続く、強い痛みで体重がかけられない、外傷後に発症した、といった場合は早めに整形外科専門医を受診してください。
損傷部位・程度によっては保存療法で改善するケースもあります。改善が乏しい場合でも、適応があれば再生医療で手術以外の選択肢を検討できます。
再生医療はひざの痛みや動かしにくさの改善を目的に行われる新しい治療法です。
PRP注射は、自己血液から血小板を多く含む部分を取り出して濃縮し、ひざ関節に注射します。血小板に含まれる成長因子が組織の修復反応を後押しし、自己修復能力を一時的に高めます。
APS注射は自己血液から抗炎症タンパク質を抽出して濃縮し、ひざ関節に注射します。痛みの原因となる物質の働きをブロックすることで、ひざの炎症や痛みの軽減を図ります。
培養幹細胞治療は脂肪組織から幹細胞を抽出・培養し、ひざ関節に注射します。幹細胞の持つ多分化能と自己複製能で細胞の新陳代謝を促し、炎症や痛みの軽減、傷んだ組織の回復を後押しし、損傷した組織の機能改善が期待できます。
治療後に「思ったほど良くならなかった」と感じる事態を避けるため、当院では治療を決める前の判断材料として「ひざ再生医療 MRI即日診断」を実施しています。
MRIはレントゲン検査よりも精密で、例えば、膝関節を撮影することで、軟骨・半月板・靭帯などの状態を詳細に可視化できるため、再生医療の効果が見込めるか、他に適した治療法があるのかなど受診当日に診断しご説明いたします。
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参考

(医療法人社団佳和会 理事長)