監修医師中山 潤一 医師(医療法人社団佳和会 理事長)
日本整形外科学会認定 専門医 / 医学博士 / 明石市整形外科医会会長



自己血液を使った再生医療として注目されているPRP療法。海外ではスポーツのケガや変形性膝関節症の治療に広く取り入れられています。APS療法は、PRPの精製に用いる血液成分分離技術を発展させた治療法であり、その革新性から「次世代PRP」と称されています。

ひざの痛みや軟骨の状態の悪化には、関節内で増えすぎた「炎症を起こす成分」が深く関わっています。APS療法は、根本にあるこの炎症へ直接働きかけることで、痛みの改善と病態の進行抑制を同時に期待できる点が特徴です。

APSの精製には人工添加物を一切使用しません。患者さま自身の血液から分離した成分を体内に戻すという仕組みであるため、副作用のリスクが少ない治療法です。注入後に痛みを感じることがありますが、これは一時的に起こる正常な生体反応であり、数日以内に落ち着きます。

治療では患者さまの血液を採取し、そこから精製したAPSをひざ関節内へ注入するため、外科的処置を必要とせず、入院も不要です。治療後は激しい運動を控えていただく必要がありますが、日常生活はそのまま継続していただけます。

細胞培養などの時間を要する工程が不要なため、専用キットと機器を用いて院内で精製することが可能です。精製にかかる時間はおよそ20〜30分で、採血からAPS注入までを含めても所要時間は1時間ほどです。1回の来院で治療を完結させたい方にも対応しております。
APS療法とは、患者さまご自身の血液を用いた再生医療です。血液中には、抗炎症性タンパク質が含まれており、この成分を専用のキットで濃縮・精製したAPS(=自己タンパク質溶液)をひざ関節へ注入します。APSに含まれる抗炎症性タンパク質が炎症を抑制することで、痛みの軽減が期待できます。
自己組織を使用するため、人工物が不要であること、手術を伴わないこと、来院当日に治療できることから身体的な負担が少ない治療法です。

APS療法は、関節内の炎症によって引き起こされる痛みを改善するための再生医療です。
変形性膝関節症をはじめ、半月板損傷や軟骨損傷といったケガによる炎症にお困りの方にも幅広くお受けいただける治療です。
また、感染症をお持ちの方は他の再生医療では適応外となるケースが少なくありませんが、APS療法はそのような方にも対応が可能です。
PRPに含まれる成長因子の働きに加え、APS(自己タンパク質溶液)が膝関節内でIL-1やTNF-αといった炎症性サイトカインの過剰な産生を抑制し、炎症環境を是正することで、慢性的な痛みの改善が期待できます[1][2]。

多施設共同臨床試験では、保存的治療に効果が見られなかった中等度までの変形性膝関節症の患者を対象に、APS注射を1回投与することで、12か月時点でも痛みや臨床症状の改善が示されました[3]。さらに、その後の追跡では3年時点でも痛みの改善が示されたと報告されています[2]。
なお、この試験の12か月時点までの評価は、APS注射群と生理食塩水注射群(対照群)に無作為に割り付けた多施設共同・二重盲検・対照試験として実施されており、患者と評価者の双方が投与内容を知らされない状態で検証が行われました。このような試験デザインは、治療効果を検討するうえで科学的に信頼性の高い方法の一つです。
採血したその日に、院内でAPSへと加工・調製し、関節内への注射まで一貫して行えます。
ご予約いただいた日時にご来院ください。
まずMRI検査を受けていただき、その結果をもとに医師が診察します。

○MRI検査を実施します。
○再生医療による改善効果は、ひざ関節の状態によって個人差があります。
○ひざ関節の内部の状態を詳しく確認し、APS注射の効果が期待できるかどうかの判断材料にします。

○現在のひざの状態、これまでの治療歴をお聞かせください。
○伺ったお話や、触診で得た情報、MRI画像をもとにAPS注射の効果が見込めるかどうかを医師よりご説明いたします。
○治療の適応を判断した場合は、本治療に伴う注意点をご説明します。

APS注射の適応があり、治療内容にご同意いただけましたら、55mL程度の採血を行います。採取した血液を専用キットで二段階処理することで、抗炎症タンパク質や成長因子を高濃度に濃縮・抽出し、ひざ関節に注入します。
採取した血液を遠心分離し、血小板を多く含む成分を抽出して、ひざ関節に注入します。
※治療を受けるかどうか迷われた場合は、一旦持ち帰ってご検討ください。
採血やAPSの注入に伴う痛みはほとんどありません。入院も不要で、治療後はそのままご帰宅いただけます。
適応の判断や治療内容のご説明のみのご相談も承っております。
ひざの状態をしっかり検査してから治療したいという方は、検査から診察までがスムーズな『ひざ再生医療・MRI即日診断』がおすすめです。来院当日にMRI検査と診察が受けられます。お気軽にご相談ください。

APS注射の費用については、料金ページをご確認ください。また、当院の治療は自由診療になりますが、条件により医療費控除が適用される場合があります。あわせてご確認ください。
患者さまご自身の血液から、炎症を抑える成分を高濃度に抽出してひざ関節に注射する再生医療です。
APS(自己タンパク質溶液)は、PRP(多血小板血漿)をさらに精製し、抗炎症性サイトカイン(IL-1raなど)や成長因子をより高い濃度で含む「次世代PRP」とも呼ばれる治療法です。関節内の炎症を強力に抑えながら、組織の修復環境を整えることが期待できます。
精製の工程が異なり、APS療法のほうが抗炎症作用に優れています。
PRP療法は血液を1回遠心分離して血小板を濃縮する治療です。APS療法ではそこからさらにもう1段階加工を加えることで、炎症を抑えるタンパク質(抗炎症性サイトカイン)をより多く抽出します。そのため、ひざの炎症が強い方にはAPS療法が適しています。
作用する仕組みとアプローチが大きく異なります。
ヒアルロン酸注射は、関節内の潤滑性やクッション性を補うことを目的とした治療です。一方、APS療法はご自身の血液由来の抗炎症成分・成長因子を高濃度に含み、炎症の根本に働きかけて痛みを軽減します。ヒアルロン酸注射では十分な効果が得られなかった方が、次のステップとしてAPS療法を選ばれる患者さまが多いです。
まずは今の症状とMRI画像を確認し、適応を慎重に判断いたします。
手術の種類やひざの状態によって異なりますが、半月板損傷や靭帯損傷の手術を受けた方、変形性膝関節症で関節鏡手術・骨切り術などを受けた後の方でも、再生医療は可能です。
個人差はありますが、2〜4週間ほどで痛みの軽減を感じ始める方が多いです。
炎症の抑制が徐々に進むため、最終的な効果の実感までに1〜3か月ほどかかることもあります。臨床研究では、1回の注射で12か月以上にわたり痛みの改善が維持されたとの報告もあります[4]。
APS療法は軟骨そのものを再生させる治療ではありません。
関節内の炎症を抑え、痛みを軽減し、軟骨破壊の進行を遅らせることが主な目的です。軟骨の再生をより積極的に目指す場合は、培養幹細胞治療とエクソソーム注射の併用をご提案することもあります。
ご自身の血液を使用するため、アレルギーや拒絶反応のリスクは極めて低い治療です。
一般的な副作用としては、注射後に一時的な痛み・腫れ・熱感が生じることがありますが、通常2〜3日以内に自然に落ち着きます。また、自己血液由来のため、他者の血液による感染リスクもありません。