監修医師中山 潤一 医師(医療法人社団佳和会 理事長)
日本整形外科学会認定 専門医 / 医学博士 / 明石市整形外科医会会長


患者さまから少量の皮下脂肪を採取し、幹細胞を抽出します。約1ヶ月ほど培養・増殖させ、ひざ関節へ注入する治療です。
幹細胞は、体を構成するさまざまな細胞の「もと」となる特別な細胞です。この細胞には、2つの重要な特性があります。
1つ目は「多分化能」で、他の組織に変化する力です。損傷した細胞の修復、および再生に必要な細胞へと分化する効果があります。
2つ目の特性は「自己複製能」で、自らのコピーを生み出す能力です。細胞の新陳代謝で治癒や再生のサイクルを持続させる基盤となります。
これらの特性が痛みの原因である炎症を抑え、損傷部位の修復を促します。
幹細胞が豊富であるほど、組織の回復力は高くなります。


一時的に痛みを抑えるヒアルロン酸注射とは異なり、培養幹細胞治療では、投与した幹細胞の働きにより炎症の抑制や組織修復が促され、ひざ関節の痛みと機能を長期的に改善したという報告があります[1]。
当院でこれまで実施した全ての症例において、有意な改善を確認しています。
※2024年6月~2026年2月現在

変形性膝関節症では、軟骨が少しずつに摩耗し、時間とともに関節の変形が進行していきます。その病態に対して、従来の治療では有効な治療法がありませんでした。しかし、培養幹細胞治療には軟骨の保護や状態の維持が期待できます。
再生が難しいとされる軟骨が、幹細胞の分化能や修復促進作用によって増殖・修復が促され、軟骨様組織の再生が示唆された報告があります[2]。

当院の培養幹細胞治療は、患者さまご自身の細胞を用いて実施します。また、培養過程において〝動物血清製品〟や〝人工加工物を含む培養液〟は使用していません。
そのため、アレルギー反応や拒絶反応が起こる可能性が非常に低い治療法です。
当院のこれまでの症例において、重篤な副作用が現れたケースはありません。

細胞治療では、一定の品質を保つための管理体制が重要です。当院では、厚生労働省の認可を受けている細胞加工施設(※)に依頼しています。
細胞は厳重な温度管理のもと医療輸送され、細胞加工技術者が規定の手順で培養し、安定した品質を確保しています。
あわせてコード管理により、細胞の取り違えを防ぐ対策も徹底されています。

培養した幹細胞は、注射でひざ関節に投与できます。幹細胞の抽出に用いる脂肪も、局所麻酔下で皮膚を1cmほど切開し採取できるため、大きな出血を伴うことはありません。
処置は外来で完結するため入院の必要がなく、来院された患者さまはご自身で歩いて帰宅されています。
脂肪由来の幹細胞を体外で増やしてからひざ関節に注射して、痛みや関節内の状態改善を図る治療です。脂肪は患者さまの腹部から少量(豆粒ほど)採取し、幹細胞を抽出します。ひざの痛みの改善や軟骨の変性進行を抑える効果が期待され、手術を受けられない方、または手術を避けたい方にとっての選択肢として患者さまに選ばれています。

培養幹細胞治療は、変形性膝関節症の症状を和らげ、進行を遅らせる治療法として関心が高まっています。ヒアルロン酸注射などの保存療法で改善が見られない方にもおすすめできる治療法です。また、年齢や持病などの理由で手術が難しい方にとっても、選択肢の一つとなります。
脂肪幹細胞には、炎症を抑える作用と、痛みを軽減させる成分を作る作用があると考えられています。そのため、ひざの痛みに関する複数の要因に働きかけることができ、ひざの痛みの軽減が期待できるのです。
実際に、海外の医学専門誌に掲載された臨床報告では、重度の変形性膝関節症に伴う痛みや関節機能が、培養した脂肪幹細胞の投与後に改善したことが示されています[3]。
また、脂肪幹細胞を用いた変形性膝関節症に関する他の臨床報告においても、同様に痛みの軽減や、ひざ機能の改善が確認されています[4]。
培養した脂肪幹細胞をひざ関節に注射する治療では、一時的な改善だけでなく、長期的な改善が見受けられます。当院の培養幹細胞治療では、数か月から1年以上も痛みの軽減が継続された治療実績があります。

再生医療の適応を確認するため、MRIによる詳細な画像診断と、感染症の有無を確認する採血検査を行います。

画像診断の結果をもとに、医師が治療の適応について詳しくご説明いたします。内容にご同意ご同意いただけましたら、、脂肪採取および治療の日程を調整いたします。

脂肪採取の日にご来院いただきます。幹細胞の培養に必要な血液を200mL採取し、局所麻酔下で皮膚を1cm切開して脂肪を3g採取します。採取自体は短時間で終了し、入院の必要はありません。

採取した脂肪と血液は、委託先の細胞培養加工施設へ送付し、培養(約4週間)および無菌検査(約2週間)を実施します。輸送は専用ボックスを使用し、温度管理を徹底した状態で輸送されます。培養期間中もモニタリングや感染検査を継続して実施し、厳重な品質管理のもとで細胞を管理します。

治療プランで必要な細胞数まで培養が完了すると、いったん−196℃の超低温で凍結保存します。その後、投与日に合わせて解凍し、専用ボックスで輸送します。

再度ご来院いただき、培養した脂肪由来幹細胞をひざ関節へ注入します。投与当日はひざ関節を浴槽につけることはできず、シャワーのみ可能です。
※一度解凍された細胞は保存ができないため、予定日に来られない場合は細胞を破棄することになります。
適応の判断や治療内容のご説明のみのご相談も承っております。
ひざの状態をしっかり検査してから治療したいという方は、検査から診察までがスムーズな『ひざ再生医療・MRI即日診断』がおすすめです。来院当日にMRI検査と診察が受けられます。お気軽にご相談ください。

詳しい費用については、料金ページをご確認ください。また、当院の治療は自由診療になりますが、条件により医療費控除が適用される場合があります。あわせてご確認ください。
年齢による制限はないため、ご高齢の方でも受けていただけます
当院では80代以上の方の治療実績があり、ご高齢の方でも効果を実感いただいています。
手術のように体へ大きな負担がなく、少量の脂肪採取と膝への注射を中心に行うため、年齢的に体力面でご不安があるという方も安心して受けていただける治療内容です。ぜひご相談ください。
治療に用いる成分などが異なります
| 培養幹細胞治療 | PRP療法 | |
|---|---|---|
| 注入する成分 | 脂肪に含まれる幹細胞 | 血液中に含まれる血小板 |
| こんな方に おすすめ |
進行期~末期の変形性膝関節症 | 初期~進行期の変形性膝関節症 |
| 効果がでるまで | 1~3ヶ月 | 約1ヶ月 |
| 効果の持続時間 | 1年以上 | 3~6ヶ月 |
培養幹細胞治療では、採取した脂肪組織から幹細胞を抽出・培養してひざに注入するのに対し、PRP療法は、採血した血液から血小板を多く含む成分を抽出して注入する治療です。
どちらが適しているかは、ひざの状態(変形の程度や痛みの原因など)によって変わります。変形性膝関節症が比較的軽い段階ではPRP療法で十分に改善が期待できるケースもありますが、進行している場合には培養幹細胞治療も選択肢に入れて検討するとよいでしょう。
また、効果を感じ始める時期の目安として、培養幹細胞治療は1~3か月程度、PRP療法は約1か月程度と、治療の即効性にも違いがあります。(※いずれも個人差があります)
変形性膝関節症のステージ4(末期)の患者さまにも、効果を実感されています。
当院では、変形性膝関節症が進んだ状態の患者さまからのご相談も少なくありません。進行したケースでは、これまでは手術療法しかひざの痛みを改善する方法がありませんでした。
培養幹細胞治療は、手術や入院を必要としない治療として、じざの痛みの改善が期待できます。実際に、当院で治療を受けられた方の中には、痛みが軽くなり、歩きやすさの変化を実感された方もおられます。
一方で、効果のあらわれ方はひざの状態によって異なります。当院では専門医が事前にひざの状態を診断し、治療の適応を判断しております。まずは一度、ご相談ください。
手術の種類や膝の状態によって異なりますが、半月板損傷や靭帯損傷の手術を受けた方、変形性膝関節症で関節鏡手術・骨切り術などを受けた後の方でも、再生医療は可能です。
まずは今の症状とMRI画像を確認し、適応を慎重に判断いたします。